2014年10月18日土曜日

十字架の生涯 イエス・キリスト 系図に隠された秘密

系図に隠された秘密

 

今まで聖書を手にとって、読まれたことはありますか。

多くの人は、まず新約聖書を開かれると思いますが、

すると、いきなりカタカナだらけの、日本人には、なじみの薄い名前ばかりが出てきます。

 

たいていの人は、これでもう聖書を読むのを止めてしまいます。

 

韓国にある世界で一番大きなプロテスタントのキリスト教会の牧師の方が、

初めて聖書を読んだとき、こう言ったそうです。

 

「これなら電話帳を読んでいる方がましですよ」

 

なるほど、そう思うかもしれません。

 

でも実は、このカタカナだらけの名前の中に、すごい感動がいっぱい入っているのです。

 

それを、あなたが知れば、きっと、もっと、もっと、聖書を読みたくなられるでしょう。

 

そして聖書が語っているイエス・キリストという方に、あなたも出会いたくなられるにちがいありません。

 

これから、その中の一部をここに書いていきたいとと思います。

 

最後まで、ぜひお付き合い下さって読んでみて下さい。

 

 

キリストの系図に連なる人々とは

 

このカタカナだらけの名前は、イエス・キリストという方の系図が書かれているのです。

 

このイエス・キリストの系図には、40人の名が出てきますが、なんとその中に女性が4人も出てくるのです。

 

しかも、そのうち2人は異邦人なのです。

そのうえ、その2人のうち一人は遊女でした。

 

女性を系図の中に入れることは、当時としては珍しいことでした。

まして選民意識が非常に強いユダヤ人にとって、異邦人の女性の名を記すだけでも普通のことではありません。

ところが異邦人の女性どころか、遊女の名をイエス・キリストの系図の中に入れたのです。

神さまはそれをよしとされたのです。

 

もし、みなさんが自分の系図を書くとしたら、わざわざ遊女を入れるでしょうか。

まず、省いて取り除いてしまうでしょう。

 

ところが神さまは、わざわざキリストの系図の中に、この遊女「ラハブ」の名を記したのです。

 

この「ラハブ」について、少し書いてみたいと思います。

 

 

遊女ラハブ

 

ラハブは、エリコの町に住んでいました。

 

ある日、イスラエルから2人の斥候がエリコの偵察にラハブの家に来たのです。

エリコの王さまは、すぐに斥候が偵察に来たことをかぎつけて、使者をラハブのもとに送ります。

 

「おまえのところに来て、家にはいった者たちを連れ出せ。その者たちはスパイなのだ。」

 

ところが、ラハブは、王さまの使者に嘘をついて、この偵察の2人をかくまい、助けるのです。

 

ラハブは、イスラエルの神こそが、真の神であり、必ず勝利することを信じていたのです。

だからこそラハブは自分の生命をかけて王に背いてまでも、彼らを助け、懇願しました。

 

「あなたがたイスラエル人が、必ず私たちに勝つことを、私は知っています。

あなたがたの神、主は、上は天、下は地において神であられるからです。

どうか私があなたがたに真実を尽くしたように、あなたがたも私の父の家に真実を尽くすと、

いま主にかけて誓ってください。私の父、母、兄弟、姉妹、またすべて彼らに属する者を生かし、

私たちのいのちを死から救い出してください」

 

このとき、ラハブは自分の命だけではなく、

自分の父、母、兄弟、姉妹など自分の家族、親族の命まで、

この2人の斥候に助けてくださいと頼むのです。

 

彼女の真の神への信仰は、同時に家族への愛と、一つとなって働いたのです。

 

ラハブはエリコの町に住んでいる遊女でした。

いつからそんなふうになったのかは、わかりません。

ただ、いまではもう遊女に落ちぶれてしまった彼女は、親戚から白い目で見られていました。

家族からさえも「家族の恥、お荷物」と言われ、勘当されていたことでしよう。

 

でもラハブは家族を恨んだり、憎んだりしていなかったのです。

家族のことを、今もなお愛していました。

王に背いてまでも家族の命乞いをするほどに、イスラエルの神を信じ、家族と親族を愛していたのです。

 

私たちの神は心を見られます。

このラハブの心を神は見ておられました。

 

2人の使者はラハブに言いました。

 

「あなたは私たちを助けてつり降ろしてくれたこの窓に、この赤い紐を結びつけておきなさい。

そしてあなたの家に、あなたの父、母、兄弟、またあなたの父の家族を全部集めておきなさい。

あなたの家の戸口から外に出ないで、あなたといっしょに家の中にいるならば、必ず助け出そう…」

 

「おことばどおりにいたしましょう」

 

2人が去ったあと、ラハブは窓に、その赤い紐を結びました。

そして父と母のところへ、おばさんやおじさん、お兄さんやお姉さんのところへ行ったのです。

 

おそらく彼らは、すぐには遊女になったラハブの言うことなどに耳を貸しはしなかったでしょう。

それどころか、おまえが来ると、隣近所に恥ずかしいと言って、追い返した人もいたことでしょう。

 

けれどもラハブは行きました。

何度も何度も行きました。

何を言われても、どんな顔をされても、ラハブは、彼女の愛する家族のところに行き、

そして彼らに言ったのです。

 

「もうすぐイスラエル軍が来る。

そうしたら、エリコの町は完全に滅ぼされてしまう。

そして、私たちもみんな殺されるでしょう。

イスラエルの神こそ真の神だからです。

彼らが負けることなどはありません。

けれども、私の家に来てください。

私が助けたイスラエルのふたりの斥候が、私の家にいっしょにいるなら助けてくれると約束してくれたのです。

あの赤い紐がしるしです。早くしてください。

お願いです。信じて下さい。もう時間がありません」

 

彼女は、何回も何十回も一生懸命言いました。

渋る家族の人々に、真剣な眼差しで、心を込め愛を持って訴えたのです。

 

そして、彼女の主に対する信仰と家族への愛が勝ちました。

 

ひとり、またひとりと家族が、親族が、赤い紐を結んだ彼女の家にやって来ました。

 

私は思うのです。

 

一番最後に来たのは、きっとお父さんだったのではないかと…。

牧師になって、そう思うよになりました。

(もちろん天国に行ってからイエスさまに聞かないと本当のところはわかりませんが…、

でもやっぱりお父さんが最後に来たと思います。)

 

イスラエル軍が、ヨシュアに導かれてエリコに攻めてきたとき、

毎朝早く、城壁の周りを回ったあとで、祭司たちは角笛を吹きならしました。

そのときヨシュアは言いました。

 

「ときの声をあげよ。主がこの町をあなたがたに与えてくださったからだ。

この町と町の中のすべてのものを、主のために聖絶(全部殺すこと)せよ。

ただし、遊女ラハブと、その家にともにいる者たちは、すべて生かしておかなければならない。

あの女は私たちの送った死者たちをかくまってくれたからだ」

 

そこで祭司たちが角笛を吹き鳴らし、民がその音を聞いて、大声でときの声をあげるやいなや、城壁が崩れ落ちたのです。

ヨシュアの軍はまっすぐ町に攻め上り、イスラエル軍は完全な勝利を収めたのです。

ヨシュアはこの地を偵察したふたりの者に言いました。

 

「あなたがたがあの遊女に誓ったとおり、あの女の家に行って、その女とその女に属するすべての者を連れ出しなさい」

 

斥候になった2人が行ってみると、赤い紐を窓に結んだすべての親族がいたのです。

彼らは、そのすべての者を連れ出して、イスラエルの宿営の外にとどめておきました。

彼らはみんな助かったのです。

 

私たちの信じているイスラエルの神は真実なお方です。

 

この遊女ラハブの名を、神さまはイエス・キリストの系図に入れられたのです。

 

見せかけの体裁を気にする人はきっと思うでしょう。

こんな異邦人の遊女され入っていなければ、キリストの系図ももう少し品が上がるのにと。

けれども私たちの信じている真の神さまは、心を見られるのです。

全世界を創造し、歴史を導いておられる聖書の神さまは、心の真実を見ておられるのです。

 

主は遊女ラハブをキリストの系図に記すことを恥とはなさいませんでした。

 

私たちの信じている神はこのようなお方なのです。

 

 

信仰の人ルツ

 

もうひとりの異邦人の女性は「ルツ」と言います。

クリスチャンホームで生まれた女の子にはよくつけられる名前です。

このルツはモアブ人でした。

モアブ人は偶像礼拝と姦淫の罪に満ちた民族だったので、十代、主の民に加わってはならないと言われていたほどです。

しかしルツは、ユダヤ人の夫が死んだ後も姑に仕え、こう言いました。

 

「あなたの行かれるところへ私も行き、あなたの住まれるところへ私も住みます。

あなたの民は私の民、あなたの神は私の神です」

 

そしてベツレヘムに帰ってから、夫の親戚であったボアズと、はからずも再婚することになるのです。

そして彼女はあの偉大な王、ダビデのおばあちゃんになったのです。

 

神さまはルツの属していた民族がどんなに罪に満ちていても、ルツが真の神と姑に示した真実とによって彼女を見られました。

 

神さまはレッテルをはったり、偏見をもって見たりはなさらないのです。

 

一人ひとりの真実をご覧になられるお方なのです。

 

 

ウリヤの妻バテ・シェバ

 

4人の女性の中に名が記されていない人がいます。

それは「ウリヤの妻」です。

彼女はユダヤ人で名前はバテ・シェバと言います。

 

夫が戦争で出征中に、イスラエル人の中で最も偉大な王といわれているダビデと、姦淫の罪を犯し身ごもってしまいます。

 

ダビデは自分の罪を隠すため、ウリヤを前線から引き戻し、家に帰そうとしますが、

彼は自分だけが帰ることはできないと言って帰りませんでした。

 

そこでダビデは、一番厳しい戦場にウリヤを送り戦死させるようにと書いた手紙を、ウリヤに持たせて戦場に送り返します。

そして、その手紙に書かれたとおりにウリヤはされ戦死してしまいます。

 

ダビデは姦淫の上に、殺人の罪を犯すのです。

 

ナタンという一人の預言者がダビデのところに来て、その罪を指摘します。

そのとき、ダビデは、自分の罪に気づき、真実に神の前に悔い改めます。

 

主はダビデを赦されます。

しかし、姦淫の結果できた子は、病の末、ダビデの必死の断食にもかかわらず死んでしまいます。

 

そののちバテシェバは再び身ごもります。

そして与えられたのが、ソロモンというダビデの世継ぎなのです。

ダビデにはたくさんの子供がいました。奥さんが多かったので…。

にもかかわらず、このバテ・シェバの子、ソロモンが世継ぎとなったのです。

 

主の憐れみと恵みは本当に深いものです。

 

しかし、よく見てください。

系図には、バテ・シェバとは書かれていないのです。

彼女は「ウリヤの妻」として書かれています。

 

私たちの信じている神は、憐れみと恵みに満ち、どこまでも赦してくださる方です。

 

しかし、同時に義なる方なのです。

 

主はダビデが真実に悔い改めたとき、彼の罪を赦し、同じバテ・シェバから世継ぎを与えられました。

しかし、系図にはあくまで「ウリヤの妻」として載せられたのです。

私はここを読むたび、私たちの信じている主に対して、ある畏敬の念を持たずにはいられません。

 

もしこれを読んでおられるあなたが、

職場や学校、家庭や地域というこの世である地上での戦いの中で、疲れや憤りを覚えながら、

本当に真実なもの、本当に正しい義なるものを求めておられるなら、

それは、この方イエス・キリストの中にこそあります。

 

この方は義なる方、真実なる方。

 

愛と憐れみをもって、正しく裁き報いてくださる方なのです。

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